萩原で暮らす人たちの声

どきどき萩原

田中 晃子さん

下呂市萩原町羽根出身
高校卒業後、地元を離れ福祉の道へ進む
2017年、草木染めとの出会いをきっかけに下呂へUターン帰郷
現在は草木染めとヨガをWライフワークとして
下呂草木染物店リボラを営みながら、森林を歩くヨガ『ゆきあきウォーキング』などを開催している

地元を離れて気づく、本当は下呂が大好きだった

自宅の一部に設けられたアットホームで落ち着く雰囲気の工房に案内してくれのは下呂草木染物店店主の田中晃子さん。

高校卒業後、田舎暮らしの煩わしさから自由を求めて都会へ引っ越した。10代の頃は地元が嫌いで、下呂を離れた時もそのまま戻るつもりはなかったと言う。そんな彼女が下呂へUターン帰郷した理由を聞いてみた。

ー下呂に戻ることを決めたきっかけは何ですか?ー

『ちょうど都会での暮らしに疲れて心身ともに行き詰まりを感じていた頃に病が見つかって。入院中の病床でネットを見ていた時に、たまたま見かけた草木染め講座に”コレだ!!”と。

もともと登山が好きで花や植物も好きだったこともあり、一気に引き込まれて。退院の予定もまだ決まっていないうちに講座に申し込みをしていました(笑)そこからは気持ちが完全に下呂に向いていましたね。下呂は自然が近いですし、いつでも簡単に山や森に行ける環境が草木染めには最適なのもあって。』

ーなぜ他の場所ではなく下呂だったのですか?ー

『本当は心のどこかではずっと地元に帰りたかったんですよね。だから、当時はなにか下呂に戻るためのきっかけを探していた様に思います。今思えば、草木染めをやると決めたのもそれを理由にして下呂に戻りたかったんだと思います。』

 

本来の自分に戻れたことで地元の良さが見えてきた

ー実際に戻ってきた時の地元に対する印象はどうでしたか?ー

『180度変わりましたね。以前はお節介で煩わしく感じていた様な周りの言動が、本当はめちゃくちゃ優しい思いやりだったということに気づきました。自由を求めて地元を離れたはずなのに、実際には人との関わりをできるだけ避ける様な都会での暮らしが何十年も続いて、、でもその期間があったからこそ結果的に本来の自分に戻れた気がするんです。そしたら、以前なら面倒に感じていた田舎の風習にも”それもいいじゃん!!”って思える様になって。今はここでの暮らしが本当に心地よくて楽しいですね。』

 

お日様の下で洗濯物を干せることが最高に幸せ

ー晃子さんにとって地元萩原の魅力は何ですか?ー

『いろいろありますが、やっぱり自然が身近にあって”天が広い”ことですかね。空の広さは下呂の他地域に比べても萩原が圧倒的だと思います。空が広いと日照時間も長くなるので畑の野菜もよく育ちますし。あとは都会にいたころは洗濯物を外に干したことが一度もなくて。こっちに戻ってから洗濯物を外に干せることがいかに幸せなことかしみじみ感じています。』

ー週末の過ごし方も変わりましたか?ー

『全然違いますね。都会にいたころはとりあえず週末はイオンとかに行ってました。それも週明けの話のネタ作りのために半分義務的な感じで(笑)今は週末は染物の材料を収穫したり、草木染めを通して色んな人たちと繋がれる機会も多いですね。』

ー自宅から近くの森林まではどれくらいで行けますか?ー

『一番近いところだと車で1分で行けますよ。(笑)車をとめてすぐに森の中へアクセスできます。』

 

草木染めをもっと身近に感じてもらいたい

20年ぶりの帰郷であったが、戻った時にはすんなり地域に馴染めたと話す晃子さん。それには、ご両親の存在が大きかったのはもちろんだが、草木染めのおかげで繋がったご縁もたくさんあると言う。そんな晃子さんにとって草木染めとはどんな存在なのか聞いてみた。

 

 

ー晃子さんにとっての草木染めを教えてください。ー

『一言で言うのは難しいですが、、まずは生業であり、いまの自分の肩書きですかね。”草木染めのあっこちゃん”として草木染めを通して繋がったご縁がいろいろあって。草木染めがあったからこそ帰郷後すぐに地域に馴染めたのはあると思います。あとは、草木染めがいまの自分のライフスタイルやマインドに大きく影響していると思います。例えば、染めの材料を採るために自然と山や森で過ごす時間が増えたり、合理性とは真逆の土臭く不便な時間の使い方のかっこよさを知ることができたり。他には、普段なにげなく見ている植物にはそれぞれに名前がある、ということを改めて気づかせてくれたのも草木染めでした。』

ー今後ご自身の草木染めをどんな人たちに届けたいですか?ー

『作品自体を届けることももちろんですが、実は私の場合は草木染めの体験の方を届けたいという気持ちが大きいんですよね。草木染めってまだまだ限られた人たちだけがやるものというイメージがありますが、子供から大人まで幅広い年代の人たちにもっと身近に取り入れてもらえるような草木染め体験を届けていけたらと思っています。』

(3月に開催された桜染めワークショップの生徒さんたちの作品)

やりたい事で繋がっていく人と人とのご縁

ー最後に、これから下呂に移住を考えている人たちへのアドバイスはありますか?ー

『この土地の地域性を受け入れてオープンマインドでいられたらここでの暮らしは最高ですよ。以前は出来るだけ目立ちたくないという気持ちが強かったけれど、いまは”私こんなことやってます!!みんな見て!!”みたいなノリで(笑)そうすると人と人との繋がりもどんどん広がって、自分の活動を助けてくれたり応援してくれたりする人たちももたくさん出てきますからありがたいですね。』

晃子さんの話から、人と人との繋がりを何よりも大切にし、互いに持ちつ持たれつ助け合うこの地域の人たちの生き方と、その中で自分らしくやりたい事に挑戦しながらオープンマインドで暮らすことへの大きな安心感と心強さを感じた。

 

(下呂草木染物店リボラ晃子さん作品)
下呂市ふるさと寄附のお礼の品にもなっています。

ライター プロフィール
よっしー

よっしー

2021年秋、とある古民家との出会いをきっかけに夫婦で名古屋から下呂に移住。現在は馬瀬の美しい自然に囲まれて夫婦と猫2匹でのびのびとした里山暮らしを満喫しています♪四季を通して五感で味わえる里山暮らしの豊かさを地域の方たちに教えていただきながら日々初体験を更新中♪ここならではの暮らしの魅力をわたし目線でお届けできたらと思います!