下呂で暮らす人たちの声

どきどき下呂

廣田耕三さん(39)・加奈子さん(37)

出身地:和歌山県和歌山市
家族構成:息子1人、娘1人
職業:カフェ・レストラン経営
移住歴:12年

家族にやさしい街。

旧下呂町は温泉好きにはたまらない町だ。

町の真ん中にある下呂大橋を中心に、左右に別れて泉質も微妙に違うという人もいる。

季節は冬。ところどころで湯けむりが立ち昇る温泉街を歩いていくと、目的のレストランが姿を現した。

ブルーの窓枠がなんともお洒落なカフェレストラン『リゴロリゴロ』だ。

 

ドアを開けるとこの店を営んでいる廣田さんご夫婦がやわらかな笑みを浮かべながら迎えてくれた。

創業は2年前。それまでご夫婦は大阪に住んでいたという。

お二人は大阪で出会い、同じ料理の専門学校を卒業後、大阪プリンスホテルでコックとパティシエとして、仕事尽くしの毎日を送っていた。

そんな日々の中、ご主人が27歳の時に専門学校時代の先輩に紹介され、下呂へ訪れることとなった。

その当時、ご主人は下呂の地名すら耳にしたことがなく、訪れてまずびっくりしたのは、街のどの道を進んでも進んでも山が見えること。

冬だったこともあり、スキー場以外雪の積もった場所を知らなかったお二人は、どんどんと降り積もる雪の多さにも衝撃を受けたそう。

「なんて奥地なんだろう!」それが初めての印象であった。

下呂に住んでいるうちに気付いてきたのは「全体的に活動時間が2時間程早い!」ということ。

お店は早い時間から開いて17時頃に閉まるのが当たり前。大阪では考えられない。

しかし夜遊びに出たりお金を使う場所もあまりないので必然的に自己制御を出来るのがある意味健康的で良く、「早寝早起きにもなった」と笑って語ってくれた。

そんな暮らしをしているうちに、当初は何年も住むつもりはなく、すぐに関西へ戻るであろうと思っていたそうだがそうはならなかった。

地元の人達との関係も、子どもを通じて次第に交流の幅が広がり、時には近所の方が野菜や惣菜を分けてくださったりと下呂の人達のあたたかな心遣いに触れ、

今では「下呂は子育てには最高の町だ!」と断言するほど。治安も良いと廣田さんはいう。

そんな居心地の良さを知ってしまったので、この地に腰を据え子ども達とゆっくり暮らしていく道を選ばれたそうだ。

 

下呂へ移り住んだばかりの頃、お二人は水明館のバーデンバーデンというカフェレストランの従業員として11年ほど勤めていた。

その後お子さんの手が少し離れて楽になり時間に余裕が持てるタイミングで独立。

 

廣田さんのお子さん達は今は小学生ですが、まだ小さい頃には交代で抱っこをして外食したり、皆が一緒に食べることが出来ないことに自分達が不便を感じていたそう。

「子どもを連れてゆっくり食事を楽しめる場所がない」と思い、子連れに優しい場所を作ろうと考えられたそう。そのためか、お客さんの90%は女性だという。

またこの町では、地元の農家と情報を共有して繋がりを持てる場もあるそうで、飲食店などの開業を試みている人に対しての補助金制度もあり、それもご夫婦の思いを後押しした。

 

レストランでは、多くの人と接する。そんな中で、田舎ならではの風習や付き合いなどでいやな思いをしたことはないのだろうか。そのことをご夫婦に聞くと、

「何事も縁」だとお二人とも笑顔でおっしゃった。

まずは行ってみよう、やってみようという好奇心が大切だと言葉を続ける。

また、親戚も近くにいない核家族での生活は大変なように感じますが、周囲の優しさも支えとなっているそう。

受け入れてもらうには「自分からお腹を広げる事が大切だ」と廣田さんは話す。

 

それにしてもご夫婦でお店をやりくりしているとどちらかが体調を崩すこともないわけではない。人手がなく時間の都合が付きにくいこともある。自分たちはもちろん、子どもの世話も大変だ。

そんな時は「下呂市のファミリー・サポートを利用しています。」とご主人。

このサービスもあってか、だんだんと下呂市も働く女性に理解ある場所となってきていると思える。

*下呂市ファミリー・サポートって?
登録しているサポーターの方に保育園・学校・習い事への送り迎えを頼めたりそのまま数時間預けることも出来る。上手く利用するととても便利なサービス。

ご夫婦揃って「趣味は仕事だ!」とおっしゃるが、「老後は二人でゆっくりと暮らしていければ」とお考えだそうだ。好きなことをとことんやり、そのときを楽しんで生きる。

忙しい日々を送るなかでも、どこか心にゆとりを持って暮らすことができる。それが下呂の町であることをご夫婦の話を聞いて思った。

ライター プロフィール
megcrs

megcrs

幼少期から長い間下呂で育ち、名古屋・東京へ出て都会暮らしを経験しましたが、出産を機に下呂市へ戻って来ました。今は子育てしやすいこの地で、田舎ならではの楽しみを子ども達と見つけながらゆったりと暮らしています。”いいな”と思っていただける情報をたくさんお届けできたらなと思ってます。