馬瀬で暮らす人たちの声

どきどき馬瀬

木村 哲也さん

東京都八王子市出身。趣味の山登りをより楽しめる環境で暮らしたいと2016年、下呂市萩原地域に移住し、現在は馬瀬地域で働き暮らしている。

上高地まで100キロ以内の移住地探し

「週末はほぼ山にいますね。最近は八ヶ岳が多いです。」

そう語るのは下呂に移住して4年目の木村哲也さん。八王子市出身の木村さんが山登りに出会ったのは、まだ東京で働いていた7,8年前。当時はお酒が大好きで、地酒めぐりで地方を旅することが趣味のひとつだったとのこと。山で飲むお酒の美味しさに興味を持ったことがきっかけで山登りをはじめたが、今はお酒よりも山にはまっているそうだ。

木村さんに東京から移住を選択したきっかけにはどんな想いがあったのでしょうか。

「やっぱり、もっと山の近くに住みたいというのがいちばんの理由ですね。上高地や新穂高温泉登山口まで、100キロ以内に住みたいと思って、地図を見ながらどこまでなら100キロなのかと円を描いたりしていました。
そんな時、東京に本社がある会社の下呂市萩原の工場で求人がありました。それを機に下呂に移住することになったんです。」

萩原に2年住んだ木村さんは、今は萩原から山をひとつ越えた地域、馬瀬に住んでいる。

「消防団で知り合った方に仕事を紹介していただいて、今は移住当初と違う仕事をしていますが、8時から17時という勤務で、土日は休みなので、山を楽しむ時間をしっかり確保できています。金曜日の夜に出発して日曜日に戻って来るということもけっこうありますね。帰りの時間や渋滞にはまるかも、という心配がなく山に行けるから、山が身近になって、東京に住んでいた時とは気持ちの部分で全然違いますよ」と、憧れの冬山にも最近は毎週のように行くことができているそうでとても満足そうな表情をしていた。

趣味をきっかけに移住をした木村さんだが、田舎で暮らすことへの不安はあったのかと聞いてみると、

「運転と家事をすることは不安でしたね。雪道はちょっとドキッとすることもあるけど、除雪のせいで道幅が狭くなっているところを運転すると、あぁ、飛騨の冬だなぁと感じることができて、なんだか嬉しいです。家事はやっていますが、結構、職場の方などがご飯食べにこい、酒飲んでけ、と誘ってくれるので、それもまた楽しんでいます。あと、お風呂は『美輝の里』の年パスを買っているので、ほぼ毎日温泉入りにきてます。」

最後に、いまの暮らしの自慢や好きなところを尋ねた。

「やっぱり季節の移り変わりを感じながら生活できることですね。東京にいた頃は、暑いか寒いか、しか考えれなかったけど、それぞれの季節ごとの景色があって、食べ物の旬を感じることができるのが、本当に良いなぁと思ってます。」
木村さんの馬瀬で好きになった食べ物は、葉わさびなんだとか。水が綺麗な場所でしか生育しないと言われる葉わさび。ピリっとした自然の辛味にめんつゆと鰹節をかけて食べるのが好きだと笑った。

もうすぐ、そんな葉わさびが食べれる季節。
馬瀬で出会った山菜の美味しさや山里の旬の楽しみ方を話しながら、こしあぶら、って馬瀬だとコンテツって言うんですよね〜と、馬瀬の方言の濃さを語る表情は、趣味も仕事も地域での付き合いも楽しんで暮らしているのを感じさせてくれた。

そして取材後はもちろん、温泉へと向かっていった。

 

※美輝の里…下呂市馬瀬地域にある「馬瀬川温泉 美輝の里 」。温泉のある宿泊施設で、日帰り入浴もできる。様々な種類のお風呂があり観光客にも地元の方にも親しまれている。

ライター プロフィール
中桐由起子

中桐由起子

下呂市上原地域に2014年に移住しました。田舎暮らしに憧れ、地域の人や自然からたくさんの魅力を発見する毎日を送っています。