金山で暮らす人たちの声

どきどき金山

村岡伸哉

岐阜県下呂市出身
2023年1月にテレワークの普及をきっかけに、下呂市にUターン
2023年から金山町観光協会理事として金山町の観光支援、テレノーカー協会理事として農家支援を行う

金山のために自分ができること

『生まれ故郷の為に、自分ができることがあれば!と思って戻ってきた。』

そう語るのは金山町出身の村岡 伸哉さんである。東京の会社で8年間勤めた後、2023年1月に、生まれ育った金山町へUターン。現在は、テレワークでシステム開発に携わるお仕事をする傍ら、観光協会やテレノーカー協会でも活躍されている。そんな村岡 伸哉さんにお話を伺った。

~Uターンのきっかけ~

 

多方面でご活躍されている村岡さんがUターンしたきっかけのひとつとなったのは、テレワークの普及。
村岡さんが日頃テレワークの場として活用しているのは、実家の一室や、村岡さんの祖父母が経営されていた酒屋など。時には、近所の喫茶店や居酒屋などもあるそうで、居酒屋でのテレワークの際には、お酒を飲みながら打ち合わせをすることもあるという。様々な働く場所があることで気分転換にもなり、仕事も捗るんです。と笑う村岡さんの笑顔はとても開放的に見えた。

テレワークを活用したUターンを決めた本当の理由は、実は他にもあったそうだ。

 

~地元の為に自分ができること~

 

1月におばあ様が亡くなられて帰省した際、周りの人たちから様々な話を聞き、自分が住んでいた時代との違いに驚いたそうだ。

特に衝撃を受けたことは、地域に4校あった小学校が、子ども達の人数が減ったことで1校に統合されてしまっていたこと。金山町全体で子供が1年間に6人しか誕生しなかったことに、危機感を覚えた。

『人口が少なくなっていつかこの町がなくなるかもしれないと感じ、とても寂しく思った。』

自分の生まれた町の未来を想像したとき、今まで自分が培ってきたことでできる事があれば「町を支えたい」と思った。これがUターンした一番の理由でもある。

Uターン後は、金山町観光協会の理事として観光支援に力を注がれている。また、テレノーカー協会の理事として活動されている。テレノーカー協会では、様々な地域でテレワークしている人と農家での仕事をマッチングさせ、農家が一番忙しい時期に就労を支援する仕事に携わっている。

そのスキルを活かし、金山の同級生が営む酒蔵が最も忙しい冬季のみ、住み込みで働いてくれる人材をテレノーカーでマッチングさせるといった活動も手掛けられているそうだ。

早速、地元に新しい風を吹き込んでいる。

 

~人との縁の大切さ~

 

村岡さんがUターンして一番心配していたことは、近所付き合いだった。長く金山を離れていたこともあり、上手くやっていけるか不安だったと語っている。

しかし、村岡さんのお母様の友人や知り合いの方、同級生のご家族の存在が大きかったこともあり、地域に溶け込みやすかったと仰っていた。また金山で活発に活動されている人が多いことは村岡さんにとって大変刺激になり、町を良くしようという人がこんなにいるんだ!と感じ、嬉しかったと語っている。

また都会で生活していたころより、人とのご縁を大切にするようになったそうだ。

『 田舎ではお互いに支えあい、一生続く可能性のあるコミュニティがある。』

40年近く金山に住んでいるご両親も人付き合いやコミュニティをとても大切にしているのだと語る。コロナ前は近所の方と地域行事やお祭りなどに一緒に参加し、お神輿を一緒に担いだり、行事の準備や片付け、打ち上げなどすることもあり、周りの方との繋がりが日常であり、一番大切にしている部分だそうだ。

一方で不便なところをお聞きしたところ

『東京と金山を週に1~2回行ったり来たりしているので、交通の便が悪いことが大変です。』

初めは、電車に乗る時にICカードが使用できず、乗り方が分からずに困ったそうだ。一方で東京に行くときは可児と新宿を結ぶ夜行バスで通っており、

『席が空いていて、隣の人が居ないことが多いのでそれが快適ですね。』と笑った。

~両面宿儺!!~

 

村岡さんの思う金山の魅力や自慢できることを聞いてみた。

『実は、僕の家の裏山に、両面宿儺の像があるんですよ!』

クールな村岡さんの声が1トーン上がった!! 両面宿儺とは??

『大人気アニメ呪術廻戦でとても有名なので、東京の人などに写真を見せると絶対に驚かれるんです。宿儺の像、めちゃくちゃ良いんですよ~!僕、大好きで観光協会の名刺に写真を入れちゃいました。飛騨の伝記に残っている話で、金山の土地の五穀豊穣を祈り、叶うとまた別の地域へ行ったと聞いています。金山では良い神様として祀られているんですよ。』


テンション高くお話される村岡さんの姿に、金山の魅力として他地域の方々へ自信を持って発信できる自慢のひとつなのだろうと感じた。

 

※両面宿儺(りょうめんすくな)は上古、仁徳天皇の時代に飛騨に現れたとされる異形の人、鬼神である。『日本書紀』において武振熊命に討たれた凶賊とされる一方で、岐阜県の在地伝承では毒龍退治や寺院の開基となった豪族であるとの逸話も残されている。(※Wikipediaより引用)
金山町との結びつきは、下呂市金山町中津原の下原八幡神社は、両面宿儺を討伐するために飛騨へ来た武振熊命が当地に仮の斎場を設け武神(八幡神)を祭ったのが神社の起源とされている

 

 

また東京に住んでいる時よりも、お金が掛からなくなったことも挙げている。ブランド物のバッグや服などで着飾らなくても済むようになり、何かに追われている感じがないのでストレスフリーである。

時間の使い方も大きく変わったと語っていた。東京に住んでいるときは深夜1時から2時頃まで起きていて、始業時間に間に合うくらいの時間まで寝ているという生活。疲れが取れない日々だった。金山にUターンしてからは、18時に晩御飯を食べ、23時~24時までには布団に入り、日の出とともに起きる。という、とても規則正しい健康的な生活を送ることができていると語っていた。

なぜ、地方の人たちは心身的に余裕のある生活ができるのかを尋ねてみた。

『ほとんどの人が18時頃に仕事が終わって19時頃に家族で晩ご飯を食べているイメージがあって、都会のように深夜遅くまで働いたり…という人が少ないように思いますね。皆さん、仕事だけでなく、プライベートや家族との時間を大切にしているように感じますね。」と語った。

~経験者だからできるサポート~

 

最後に移住を考えている人へのメッセージを伺ってみた。

『いきなりの移住定住に不安がある方もいらっしゃると思いますので、まずは雰囲気を知るためにも金山での民宿体験をお勧めします!』

原点である大切な地元・金山のために、今まで培ってきたスキルを活かしできる事を模索しながら、自分らしく充実した毎日を過ごされている村岡さん。

これからも、周りとの縁を大切に育みながら故郷の金山を新たなフェーズへと導いてくれることだろう。

ライター プロフィール
mirairo

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下呂市の子育て世代の女性たちが「下呂の暮らしをもっと楽しく!」と 立ち上げたみらいろ。日々の暮らしの中にあるあったかい時間を多くの人に 届けていきたいと思います!暮らしに結びついた下呂の様々な情報を発信します。