小坂で暮らす人たちの声

どきどき小坂

皆越真佐代さん(53)

出身地:岐阜県美濃市
家族構成:夫(息子2人、娘1人あり)
職業:滝めぐりガイド(「NPO法人飛騨小坂200滝」所属)、水道検針
移住歴:18年

「ヒマやろ?」からはじまった縁。

「警察官をしている夫の転勤がきっかけで、小坂に移住してね。駐在所婦人として周囲の人と話す機会が多かったんやけど、そんな時に近所の人から「あんたヒマなんやない?一緒に婦人会をやらんかね?」と声を掛けていただいて。『婦人会』や『栄養教室』、朗読ボランティア『糸でんわの会』までいろんな活動をするようになって。そうしたら輪がどんどん広がっていったんよ。」

そう話してくれたのは、小坂歴18年の皆越(みなごし)さん。JR「飛騨小坂駅」からさらに山の奥の方へ行ったところにある小坂湯屋地区にお住まいだ。

テーブルの上には、なにやらおいしそうなにおいのするお鍋が。

「これは『鉱泉(こうせん)湯豆腐』っていう郷土料理でね。小坂には日本でも珍しい天然炭酸泉が湧き出てて。クセがあるから飲むのは苦手な人が多いけど、こうやって湯豆腐にすると炭酸で豆腐の角がとれて、まるで湯葉みたいな口あたりになってね。とってもおいしいでしょう。」

*かんたん鉱泉湯豆腐レシピ
小坂落合にある「ひめしゃがの湯」の飲泉場で炭酸泉をくむ。土鍋に木綿豆腐を入れ、火にかける。お豆腐に火が通ると角がとれだすので頃合いです。(ポン酢をかけたり、豆乳スープになった土鍋にお野菜や豚肉でしゃぶしゃぶをするのもおすすめ!)

小坂の郷土料理が大好きだという皆越さん。つくるようになったきっかけは何だったのだろうか?

「じつは、小坂に来た頃はご飯の炊き方も知らないくらい料理の経験がなくて(笑)でも、息子のアトピーがきっかけで、コンビニとかのできあいのものではなく、一からつくろうと思うようになってね。小坂の空気や天候も息子に合ってたのか、アトピーにもいい影響があって。ほんとに、うれしかったね。」

現在は、夫の健也さんと二人暮らし。息子さんはじめ3人の子育てを終え、自分の時間を楽しんでいるという。

「知り合いの勧めもあって、5年ほど前から『小坂の滝ガイド』の仕事をはじめてね。これが楽しくて!!名古屋や東京、アジアやヨーロッパから、いろーんな人が来てくれるんやけど、都会に疲れている人が多くて。小坂の滝のこと、植物のこと、鳥のこと……。何を話しても喜んでくれてね。小坂の自然や人に触れて、笑顔になってくれるのがやりがいなんですよ。」

自然の豊かさはもちろんだけど、小坂のいちばんの魅力は『人の心の豊かさ』だと皆越さんは話す。

「小坂は、あったかい人ばかり。それが都会の人にも通じるんやと思うよ。私は水道検針のパートもしてるけど、町をぐるっと検針してまわると野菜をおすそ分けしてもらえて。トマトもかぼちゃもだいこんもネギも、一通り揃っちゃう(笑)。裏に住んでるお母さんは、私が風邪をひいて寝込むと食事を持ってきてくれたりね。」

人生一度きり。だからこそ、田舎を経験してみるのもいいのではないか。そう皆越さんは言う。

「私は小坂を盛り上げる活動をたくさんしてるけど、この縁を次の世代につなげていきたい。私が田舎を楽しむ『道』みたいなものをつくって、みなさんにも通ってもらえたらうれしいですね。」

ライター プロフィール
mirairo

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下呂市の子育て世代の女性たちが「下呂の暮らしをもっと楽しく!」と 立ち上げたみらいろ。日々の暮らしの中にあるあったかい時間を多くの人に 届けていきたいと思います!暮らしに結びついた下呂の様々な情報を発信します。