〜この記事は2025年8月に取材し、執筆されたものです〜
こんにちは!NPO法人みらいろで2週間、ふるさとワーキングホリデーに参加している万由子です!
今年の夏はかなりの暑さですが、いかがお過ごしでしょうか?
今回私は、下呂市金山町で「筋骨めぐり」と「横谷峡四つの滝」を巡るツアーに参加してきました♪
【目次】
筋骨めぐりってなあに?
みなさんは、筋骨(きんこつ)について知っていますか?
細い路地が迷路のように絡み合っていることから、人間の骨や筋に例えて「筋骨」と呼ばれるようになったそう。
今でも筋骨は、地元の人たちの近道として使われています。公道なので、誰でも自由に通ることができます。
今回は、そんな迷路のような筋骨を金山町観光協会ツアーガイドの岡戸さんに案内してもらいました!
さっそく筋骨めぐりへ!本当に入っていいの?
岡戸さんのガイドで、さっそく筋骨へ。
スタートは、びっくりするくらい細くて狭い道。
「こんな狭い道本当に入って大丈夫なのかな?」と思いながら、後ろをついていきます。
ひとりで来たら、間違いなく通り過ぎてしまいそうな道です。
江戸時代に、宿場町として栄えた金山町。4つの藩の境目にあたり、雨が降ると川が増水して渡れなくなってしまうため、宿場を作りました。
その当時のなごりとして、今でも筋骨が残っているのだそうです。
筋骨に入ってすぐに見えるのは、現在の郵便局。
1970年代ごろ、馬瀬川上流の岩屋ダムの建設に伴い、金山の町は最も栄えていました。
この辺りは「金山劇場」があり、歓楽街としてものすごい賑わいだったそうです。
コンクリートに埋まる窓には、その当時の面影が残されています。
金山の建物でひときわ不思議に感じたのは、建物同士がくっついていることです。
ここではなんと、4軒1セットとして1枚の屋根と1本の梁を共有して建てられているのだそう。
なぜ4軒かというと、仲間同士で争わないようにするための知恵なのだとか。
さらに、建物が低く作られているのも特徴です。手作業で屋根の張り替えを行うため、無理のない高さに設計されているそうです。
古い建物を再利用したり、省エネを意識したまちづくり――そんな工夫の積み重ねが、今の金山の景観を支えているのだと感じました。
昭和時代にタイムスリップ!町の銭湯
驚いたのは昭和の銭湯!大正時代から昭和63年まで営業していたそう。
実際に銭湯の中を見学させてもらいました。
中に入ると目に入るのは、古めかしい番台と木箱のロッカー。
昔のポスターなどが張られており、当時の面影のまま残されています。
風呂場はこじんまりしていて、湯船の中にしゃがんで入らなければならず、あまりゆっくりと浸かれなかったそう。
洗い場は男湯と女湯が下でつながっていて、せっけんを交代で使っていたとか。
当時の人たちの暮らしが垣間見えるようで、なんだか面白いですね!
湯船の底には多治見タイルが使われており、なんと全て職人による手書き!全国のタイルファンの方が訪れるほど、貴重なものだそうです。
富士山が描かれたタイルもあるので、訪れた際にぜひ探してみてください!
傾斜47度⁉日本一こわい階段
筋骨をしばらく歩いた先に見えてきたのは、大きな川。
ちょうど、飛騨川と馬瀬川の境目が見られる境橋です。
橋の上から馬瀬川の方を見ると、なんだかとても急な階段が!
この階段は鮎釣りに来た人たちのために、川へ降りるために作られたそうです。
傾斜角度はなんと47度!?(ガイドの岡戸さん調べ)
階段には片側の手すりのみ。降りるのも上るのも、ものすごく怖そう。
見ているだけで足がすくんでしまいます。
川沿いでは4月に満開の桜並木、8月に飛騨金山夏まつりが開催され、日本で1番近い距離で花火を見られるそうです。
私も花火が大好きなので、いつか見に行きたいです!
橋を渡ってすぐの場所には、パワースポットのケヤキの木があります。
木の幹を触ってみると、なんだかピリピリするような不思議な感覚が!?
ケヤキの木にパワーをもらって、次の筋骨へと進みます。
金山で見つけた『ハウルの動く城』
筋骨を進むと突然現れたのは、金山に存在する『ハウルの動く城』。
驚いたことに、用水路の上に建物が建っていて、その姿は本物のハウルの城のよう。
今では法律上、同じような建て方はできないそうで、当時のまま残っているのは本当に貴重だと感じました。
ハウルの城の前には、ポポーという珍しい果実が実っていました。
熟すと黄色になり、その甘さはマンゴーとビワを足したような味だそうです。
この木は種をまいてから8年で実をつけるとのこと。
今年がちょうどその年にあたるそうで、熟したタイミングで訪れることができた人はとてもラッキーです♪
今でも使われている共同の水場
筋骨めぐりでいくつか見かけたのは、地下水が湧き出る共同の水場。
井戸水を汲む手こぎポンプもあります。
共同の水場では、洗濯や皿洗い、飲み水用や冷やし物専用など、地元の人の生活用水として必要不可欠だったそう。
下の写真の水場は、今でも実際に使われているんだとか。たわしやバケツも置いてあって、生活感がありました。
驚いたことに、水がものすごく冷たい!夏でも手を水に浸けていると、5分ほどで痛くなってしまうくらいひんやりしています。
最後の筋骨へ
最後に通る筋骨は、1番狭くて曲がり角の多い道。とても狭く細い道で、本当に驚きました。
筋骨が町に根付いている金山では、ご近所付き合いをとても大切にされているそうです。
実際に歩いてみると、道すがら自然と「こんにちは~!」と声をかけ合う光景が広がっていました。
私の暮らす地域ではご近所との関わりがあまり多くないので、この温かなやりとりがとても素敵に感じました。
自然の絶景を満喫!四つの滝めぐりツアー
昼食を終え、午後はいよいよ『横谷峡四つの滝』へ。
金山にあるこの四つの滝は、車で近くまで行けるアクセスの良さから、気軽に楽しめる人気スポットです。
ドライブイン飛山から車で約8分、山奥を進んでいくと木々に囲まれた滝めぐりの入口が現れ、ここから散策がスタート。
足を踏み入れた瞬間から、ひんやりとした空気と水の音に包まれ、自然の中に身をゆだねる心地よさを感じます。
黄金姫伝説の滝―鶏鳴滝
最初に訪れたのは、鶏鳴滝(けいめいたき)。四つの滝の中でも、一番落差があり、迫力満点です。
この滝には「黄金姫(こがねひめ)伝説」が伝わっています。京都を飛び去った鶏の彫刻を探しに行った天皇のお目付け役、黄金姫が滝つぼでそれを見つけたものの、帰る途中で亡くなってしまったというお話です。
春には滝周辺の山つつじが彩りを添え、滝の迫力とあいまって、神秘的な雰囲気に包まれます。
滝を見上げるたび、伝説の物語を思い浮かべながら歩くのも、このツアーの楽しみのひとつです。
四季折々の表情を楽しめる―紅葉滝
鶏鳴滝をあとにして次に向かったのは、紅葉滝(もみじたき)。
名前の通り、秋には周囲の木々が鮮やかな赤やオレンジに染まり、滝とのコントラストが美しい景観を作り出すのだそう。
落ちていく水は比較的穏やかで、滝壺の周りには苔や小さな植物が生い茂り、静かに流れる音に心が落ち着きます。
春や夏は青々とした緑に包まれ、季節ごとに表情が変わるのも紅葉滝の魅力です。
迫力満点!一番人気の二見滝
四つの滝めぐりで最も人気の二見滝(ふたみたき)に到着。
滝の手前に立つと、二段になった水流が並んで勢いよく落ちる姿が目に飛び込み、思わず息をのむ迫力です。
雨が降ると、水量が増えてより勢いが増していくそうです。
水辺でのんびりひとやすみ―白滝
山道を下り、四つの滝めぐりの最後に訪れたのは白滝(しらたき)。
滝つぼまで近づくことができるそうで、水の中に浸かってぷかぷかと浮かぶ人の姿も見えて、思わず羨ましくなりました。
この辺りにはオオサンショウウオがいるそうで、夜になると魚を食べるために動き回っているそうです。
残念ながら、この日は見ることができませんでしたが、ものすごく大きなサイズもいるのだとか。
私は水に浸かることはできませんでしたが、手だけでも、と水に触れてみると、ひんやりとして心地よい感触。
水の冷たさと透明感に包まれ、四つの滝めぐりの締めくくりとして、ほっとひと息つける時間でした。
金山を訪れる人を笑顔に―ガイドさんの想い
ツアーガイドの岡戸さんは、愛知県知多半島のご出身。
釣り好きが高じて、53歳のときに仕事を辞め、金山町に移住したそうです。
筋骨の面白さに惹かれ、筋骨めぐりツアーを始めてから13年間、「お客さんを笑わせたい」という想いを胸にツアーを続けてきました。
今では、地元の人に筋骨のことを聞かれるくらい、知り尽くしているのだとか。
筋骨めぐりでは、思わず歩くのを躊躇してしまうような狭い道が、地元の人にとっては当たり前であることにものすごく驚きました。
こういったツアーに参加するのは初めてでしたが、1人で観光するよりも金山の魅力をより詳しく知ることができて、とっても有意義な時間でした。
合計4時間ほど歩き回りましたが、岡戸さんのお話があまりに面白く、疲れが気にならないほど楽しいツアーでした!
みなさんも金山を訪れる際には、ぜひツアーに参加して町を歩いてみてはどうですか?
夏場は暑いので、こまめな水分補給に気を付けて訪れてみてくださいね🌻
金山町観光協会
公式サイトはこちらから✨
筋骨めぐり ガイドツアー
【所要時間】 60~120分
【催行人数】 1名様から
【雨天の場合】 催行可
【集合場所】ドライブイン飛山(ひざん)/国道41号 信号 『上市場』 西 (JRご利用の方はご相談ください)
【ガイド料金】1グループ:1~6名様まで 3,000円/ 7名様以上 おひとり500円
《英語ガイド》 1グループ:1~4名様まで 5,000円/ 5名様以上 おひとり 1,000円
横谷峡 四つの滝 ガイドツアー
【所要時間】 30分程度
【催行人数】 1名様から
【ガイド料金】 1グループ:1~6名様まで 3,000円/ 7名様以上 おひとり500円
【雨天の場合】 催行可 (状況を見て判断します)
【現地までの移動】 各自でお願いします (JRご利用の方はご相談ください)
【案内人】 筋骨ガイド
※全コースのガイド付きツアーは行っておりません。
現在は四つめの滝 「鶏鳴滝(けいめいたき)」 にて 『黄金姫(こがねひめ)伝説』 の解説ガイドのみ行っています。