森と人のつきあい方を知っている地球人を育てたいと思っています。
20年前、位山にある岐阜大学演習林の専任講師を命じられた伊藤栄一さん。名古屋地域からの通いも可能だったのにも係わらず、「どうせなら移り住んだれ」と家族で移ってきたのが下呂との付き合いの始まりです。
森と人との関わりをわかりやすい口調で話す大学の先生として、住むほどに地元の人との関係も深まり、気がつけば伊藤さんは「飲んだり」「相談されたり」と何かと声がかかる存在になっていました。その後、定年を15年以上残して大学を退職。現在はフリーの森林研究者として「森のなりわい研究所」を設立し、南ひだ健康道場などの森で森林環境学習、森林セラピー、フィールド活動などを行っています。
伊藤栄一さんに聞きました
Q森のなりわい研究所ではどんな活動をしているのですか?
A森をダシにして、なんか面白いことやるぞ!そんでもってメシも食っていけるようになりたい!と始め、森に関わることは何でもござれとやっている研究所です。
具体的には、子どもから大人まで「森で学ぶ」機会づくりの企画・運営、「バードウォッチング」や「フォレストウォッチング」などの自然観察や森に親しむ機会の提案、「森づくり活動」のノウハウの提供や活動支援などをやっています。
Q森林研究者から見た下呂がよいところは?
A下呂は場所によって標高差がすごく大きく、市域も南北に長い。そこに里山だけじゃなくて、奥山、人工林といた森があり、上流にダムがあるとは言え渓流も流れている。そんなわけでさまざまなタイプの自然に出会えるところです。
だから、自然とのつきあい方を知るにはもってこい、森での体験を通じて自然と人間の共存を理解した「下呂在住の地球人」を育てたいと考えています。
個人的には、岐阜側、特に演習林の先の島脇谷山から見た御嶽山が好き。御嶽というと長野県と思う人が多いけど、岐阜の御嶽もよいってこと、それをもっとそれを世の中の人に知ってもらいたいです。
Q外から移住された人として下呂はどうですか?
A20年も住んで下呂で人と自然の関係をいろんな地域に発信していきましたが、どこの田舎でもそうだと思いますが人に優しいところと排他的なところがあると思います。それで言えば、今でも僕はよそ者であると思っています。でも、そうした立ち位置が自分にとっては心地いいですね。
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